じょじょ日記

リストラおやじのつぶやき、もしくはエッセイ

人生論

「謙虚」とは何か?

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「謙虚」とペアの「自己肯定感」

「謙虚」であることと、自己肯定感の高さとはよくペアで論じられることもあると思う。しかし私はこの概念は似て非なるものと思う。本音と建前ということがよく言われるが、これはうまく使い分けないととても生きにくくなる。例えば、あまり見た目がよくない人に「ブサイクだ」と本音を言えば、喧嘩になるだろうし、自分の見た目に自信があっても露骨に私は「美しい」といえば、頭がおかしいと思って敬遠される。日本では特にこの傾向が強いが、外国でも過剰に自慢することはやはり「変人」と思われるようだ。

一方で自己肯定感というのは、自分の悪いところばかりに目をやって自己否定ばかりするのではなく、自分のいいところにも目を向けて、極端な自己否定を避けようということであると思う。しかし、自己肯定感というのは、「今の」自分のいいところに目を向けて、「今の」自分を評価しようということでは、本来的には、ないと思うのである。なぜなら、「今の」自分のいいところに目を向けて、「今の」自分を評価するのであれば、「今の」自分に全くいいところを見出せない場合は自己肯定感を全く持てなくなるし、今だけを見るのであれば、将来の自己成長はないからである。

つまり、本来の自己肯定感というのは、将来自分が何かを成し遂げる力があると信じることにこそ感じるべき概念であり、自己成長を伴うものではならないと思うのである。単なる現状肯定、やみくもな自己肯定ではないと思うのである。もし、現状の自分の能力を認めることによって自己肯定感を高めることが許されることがあるとすれば、それは、今あまりに自己否定感が強く、生きる気力を失ってしまっている場合に限ると思う。

人間はだれしも「努力」することは苦手で、できればそんなことをしないで「獲得」したいと思いがちなので、今の自分ができることに、あるいはこれまでの自分ができたことに「満足」して自己肯定感を持つことは、これからの「努力」を否定することにつながりかねないので、本来的にはやめた方がいいと思うのである。

今の自分の価値で勝負するのか、将来の自分の価値で勝負するのか?

要するに、自己肯定感は将来の自分の可能性を信じる部分において、「人知れず」持つものであり、基本的には今自分に足りないものをしっかりと認識して、「謙虚」にふるまうことが重要と思う。いいかえれば、「本音」では、未来にできる自信を持っているが、そこは隠しておいて、「建前」として今の自分の不出来を反省して「謙虚」な態度を本気で示すこと。これが、成長し続ける人には必要だと思う。逆にもし今の自分の課題に気づけていないのであれば、それはとりもなおさず「謙虚さ」の欠落であり、「傲慢」の許容であり、成長の否定、すなわち「破滅」の招来につながるといっていいと思うのである。

自分を愛せない人は人を愛せないというのは正しいが、自分の自慢をする人を、他人は評価するというのは間違いである。なぜなら、他人は、自慢する人はそれ以上成長しないと評価するからだ。自分の課題が見えていない人に、他人の課題は見えない、つまりそんな人と付き合っても自分も成長できないと思うからだ。自慢する人と付き合うのは、「今」だけである。自分にメリットがなくなったら、もうそんな人はいらない。

従って、自分で自分を評価できない人(謙虚な人)は他人が評価してくれるわけがないというのは、ある意味間違いである。自分を正しく分析して謙虚にふるまうことと、自己評価(自己肯定感)を高く持つことは矛盾しない。なぜなら、「評価」は将来においているからだ。今の自分に評価を置けば、当然評価は低くなるが、将来に置けば高くなると主張することは可能だし、それを他人に許容してもらうだけの自己肯定感を持つことは可能である。ただし、「謙虚さ」を忘れて、ただ、今の自分はすごいんですなんて言うのは単なる詐欺に過ぎないのである。

まとめれば、自分の成長を信じて、自信は持っているが、しかし、今の自分の課題を的確に把握していればこそ、「謙虚」でありながら、「自己肯定感」は高く持つことができ、その姿にこそ、他人は希望を感じ、自分に「投資」してくれるのである。自分の能力に満足し、謙虚にふるまうことなく自己肯定感を押し売りする人は、他人は今だけ「消費」するにとどまる。

このように、本物の「自己肯定感」を持つ者だけが、本当に「謙虚」でいられるのである。「謙虚」であることの本当の意味、「自己肯定感を高く持つこと」の本当の意味を正しく理解して、生きていきたいものである。

-人生論

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